濡れないのは私だけ?原因と、潤滑ゼリー・保湿ケアの使い分け
「濡れない」のは、気持ちが足りないからではありません。疲れや緊張、授乳や更年期のホルモンの変化、洗いすぎなど、原因はいろいろ。潤滑ゼリーと腟の保湿ケアの違いと、婦人科に行く目安をまとめました。
「濡れないのは、相手のことが好きじゃないから?」「もう年齢のせい?」。そんなふうに、自分を責めてしまっていませんか。
濡れないのは、好きじゃないから?
好きな人なのに濡れないなんて、私どこかおかしいのかな…。
おかしくないですよ。好きな相手でも、疲れていたり緊張していたりすれば、潤いは出にくくなるものなんです。
腟の潤いは、ホルモン、血の巡り、疲れ、緊張、痛みへの不安など、いろいろなことに左右されます。気持ちだけで決まるものではありません。
「濡れない」には、大きく2つのパターンがあります。
- セックスのときだけ潤いが足りない:緊張、疲れ、ふれあいの時間が短い、などが関わりやすい
- ふだんから腟や外陰部が乾いている:下着がこすれてヒリヒリする、など。ホルモンの変化が関わることが多い
両方が重なることもあります。どちらに近いかで、対策が変わります。
乾く原因って、なにがある?
イギリスの国民保健サービス(NHS)は、腟が乾く原因として次のようなものを挙げています。
- 更年期
- 妊娠中や授乳中
- 飲んでいる薬
- 子宮の摘出手術や、がんの治療
- 性的な興奮が十分でない(リラックスできていない、時間が足りない)
- 香料の入ったソープなど
- 糖尿病やシェーグレン症候群などの病気
20代・30代でも乾く
更年期は、腟の粘膜そのものが変わる
厚生労働省研究班が監修するヘルスケアラボによると、更年期に女性ホルモン(エストロゲン)が減ると、腟の粘膜が薄く乾燥し、セックスのときに痛みが出たり、感染症や膀胱炎にかかりやすくなったりします。これは気持ちの問題ではなく、体の変化です。更年期や産後の悩みは 妊活・産後・更年期のホンネ にもまとめています。
薬を飲み始めてから乾くようになったら
飲んでいる薬の影響で乾くこともあります。気になっても自己判断でやめずに、処方した医師に「飲み始めてから乾きやすくなった気がする」と伝えてみてください。
セックスのときだけ乾くなら、まず試したいこと
体は、安心できていないと潤いが出にくくなります。道具を足す前に、条件を見直してみましょう。
- ふれあいの時間を長めにとる:NHSも、前戯のしかたを変えてみることを勧めています
- 疲れている日、眠い日、寒い部屋は避ける
- 避妊や性感染症が不安だと緊張しやすい。コンドームを先に用意しておく
- 「痛いときは止める」と、ふたりで約束しておく
それでも乾くなら、潤滑ゼリーの出番です。
潤滑ゼリーと保湿ケア、どう違う?
どちらも「潤いを足す」ものですが、使うタイミングと目的が違います。
| 比べるポイント | 潤滑ゼリー | 腟用の保湿剤 |
|---|---|---|
| 使うとき | セックスの前や最中 | セックスに関係なく、ふだんから |
| 目的 | その場の摩擦を減らす | ふだんの乾燥感をやわらげる |
| 向いている人 | セックスのときだけ乾く人 | 下着がこすれるだけでもヒリヒリする人 |
NHSも、セックスの前に水溶性の潤滑剤を使うこと、腟の乾燥には腟用の保湿剤を使うことを、自分でできるケアとして挙げています。
潤滑ゼリーを使うときのコツ
- 痛くなる前に、最初から使う
- 乾いてきたら、遠慮せずに足す
- はじめてなら、洗い流しやすい水溶性から
- コンドームと使うときは、コンドームの説明書で使える潤滑剤を確かめる(ラテックス製はオイル系のもので傷むことがある)
- 温感・冷感や、香りの強いものはしみることがある
潤滑ゼリーを使うのは、努力が足りないからではありません。目が乾いたら目薬をさすのと同じで、摩擦を減らすための道具です。種類ごとの違いは ローションの選び方 も参考にしてください。
保湿ケアを使うときのコツ
腟用やデリケートゾーン用の保湿剤は、商品ごとに使う頻度や使い方が違うので、説明書どおりに使いましょう。
洗いすぎも、乾燥のもと?
デリケートゾーンが気になると、つい念入りに洗いたくなりますよね。でも、腟の中は洗わなくて大丈夫です。NHSは、香料の入ったソープや洗浄料、腟の中を洗う洗浄(ビデなど)を使わないこと、腟用ではないクリームやローションを使わないことを勧めています。
外陰部は、ぬるま湯か、香料の入っていない洗浄料でやさしく洗えば十分です。しみる洗浄料は「効いている」のではなく、刺激が強すぎるサインかもしれません。洗い方は デリケートゾーンのpHと洗い方 で詳しく紹介しています。
パートナーには、なんて言う?
「濡れない」と伝えるのは勇気がいりますよね。でも、黙って我慢すると痛みにつながり、次からもっと緊張してしまいます。
- 「最近ちょっと乾きやすくて。あなたのせいじゃないよ」
- 「潤滑ゼリーを使ってみたいな。痛くないほうが楽しめるから」
- 「今日はもう少しゆっくりがいい」
潤滑ゼリーをふたりで選ぶのもおすすめです。「ふたりが快適に過ごすための道具」として取り入れると、どちらか一方の問題になりません。
痛みもあるなら、セックスが痛いときの記事 も読んでみてください。
婦人科に行く目安は?
閉経後の出血は、少しでも受診してください。日本産婦人科医会によると、閉経後の出血でよくあるのは、腟が萎縮して起こる炎症(萎縮性腟炎)です。ただ、子宮体がんや子宮頸がんのこともあるため、不正出血があったら必ず受診するよう呼びかけています。
婦人科では、ホルモン補充療法や漢方薬、腟に入れる薬など、潤滑ゼリー以外の方法も相談できます。持病や治療中の病気によって選べる方法が変わるので、医師と相談しながら決めていきましょう。
よくある疑問
質問:潤滑ゼリーを使うと、クセになる?
クセになる、という考え方は当てはまりません。摩擦を減らすための道具なので、必要なときに使えば大丈夫です。乾燥の原因がやわらげば、使う量が変わることもあります。
質問:ワセリンやボディオイルで代わりにならない?
おすすめしません。デリケートゾーン用ではないものは、刺激になることがあります。NHSも、腟用ではないクリームやローションは使わないよう勧めています。
ラテックス製のコンドームを使うなら、オイル系のものはコンドームを傷める原因にもなります。
質問:授乳中に乾くのは、いつまで続く?
いつ落ち着くかは人によって違います。痛みがあるなら我慢せずに潤滑ゼリーを使ったり、産後の健診や婦人科で相談したりしてみてください。










