セックスレス、何から始める?責めずに話すひとことと原因別の小さな一歩
誘って断られるのがつらい人も、応えられずに申し訳なく思っている人も。セックスレスは、どちらか一人のせいではありません。話の切り出し方、原因別に見直すところ、プレッシャーのないスキンシップの戻し方をまとめました。
「最近、全然していない」。誘って断られるのがつらい人もいれば、応えられないことに罪悪感を抱えている人もいます。どちらの立場でも、ひとりで考えていると苦しくなりますよね。
そもそも、どこからがセックスレス?
ただ、これはひとつの目安です。回数が少なくても、ふたりとも納得していて安心できているなら、無理に増やす必要はありません。反対に、回数がゼロでなくても、どちらかが我慢していたり、寂しさを抱えていたりするなら、話し合う価値があります。
原因って、結局なに?
もう魅力がないのかな、飽きられたのかなって、つい考えてしまいます…。
そう考えてしまいますよね。でも、原因はひとつではないことがほとんど。あなたの魅力だけで決まるものではありません。
厚生労働省研究班が監修するヘルスケアラボでは、次のような要因を挙げています。
- 心のこと:ストレス、疲れ、うつ状態、過去のつらい経験
- 体のこと:年齢による変化、産後のホルモンの変化、子宮内膜症や腟炎による性交痛
- ふたりの関係:会話が減った、信頼関係がゆらいでいる
- 暮らしの変化:育児や介護、妊活のプレッシャー
ここに、仕事の忙しさや睡眠不足、飲んでいる薬の影響などが重なることもあります。「どちらが悪いか」の犯人探しではなく、「何が影響していそうか」を棚卸しするつもりで見ていくと、手をつける場所が見えてきます。
話し合い、どう切り出せばいい?
セックスの話は、誘って断られた直後や、ベッドの中で始めるとこじれやすいもの。お互いに身構えてしまうからです。話すなら寝室の外で、落ち着いている時間に。長くても30分くらいで切り上げると決めておくと、気が楽です。
最初に「3つの約束」をする
主語を「私」にする
「なんでしてくれないの?」より「最近ふれあいが減って、私は寂しい」。「しつこい」より「断るたびに、私は緊張してしまう」。主語を変えるだけで、相手は責められていると感じにくくなります。
ひとこと例
- 誘う側:「責めたいわけじゃないの。最近ちょっと寂しくて。今週どこかで、セックスはしなくていいから、くっつく時間をつくれないかな」
- 誘われる側:「嫌いになったわけじゃないよ。ただ、誘われると最後までしなきゃって緊張しちゃう。ハグまでなら安心できる日があるから、そこから始めたい」
一回の話し合いで、何年分ものすれ違いは解けません。今日は気持ちを伝えるだけ、次は原因を考える、その次に試すことを決める。それくらいのペースで十分です。
断り方に迷っている人は 「今日はしたくない」のやさしい伝え方 も参考にしてください。性欲の差そのものに悩んでいるなら、性欲の不一致についての記事 で詳しく扱っています。
原因別に、まずできること
思い当たる原因に合わせて、手をつける場所を変えます。
| 思い当たること | まずできること |
|---|---|
| 疲れ・睡眠不足 | ムードづくりより休息が先。家事や育児の分担を見直し、寝る前に重い話をしない |
| 痛い・濡れない | 痛い日はしない。潤滑ゼリーを使う。続くなら婦人科へ |
| 産後 | 再開の時期を押しつけない。「いつならできる?」より「何なら安心?」と聞く |
| 更年期 | 乾燥や痛み、眠りの変化が関わることも。婦人科で相談できる |
| 薬を飲み始めてから | 自己判断でやめずに、処方した医師に相談する |
| 日中の不満 | 寝室より先に、家事の分担や会話、「ありがとう」を見直す |
痛みがあるなら、いちばん先に
痛みを我慢して続けると、体は「痛いこと」として覚えてしまいます。気持ちでは応じたくても体がこわばるのは自然な反応で、わがままではありません。潤滑ゼリーは「愛情が足りない」サインではなく、摩擦を減らす道具です。原因や対策は セックスが痛いときの記事 にまとめています。
産後・更年期は、体の条件が変わっただけ
産後は、傷の回復や授乳、睡眠不足、育児の疲れが重なります。医師から再開してよいと言われても、気持ちや体が追いつかなければ、急ぐ必要はありません。更年期は、ホルモンの変化で腟が乾きやすくなり、痛みにつながることがあります。どちらも「もう戻らない」わけではなく、体の条件が変わっただけ。調整できることはあります。妊活・産後・更年期の話は 妊活・産後・更年期のホンネ にもまとめています。
同棲してからレスになった…なぜ?
付き合っていたころは会う日が特別だったのに、一緒に住み始めたら減ってしまった。そう感じる人は少なくありません。いつでも会える安心感はうれしい変化ですが、そのぶん「今日じゃなくてもいい」が続きやすくなります。
同棲してから変わりやすいのは、たとえば次のようなところです。
- 会う日が「デート」から「生活」になり、切り替えのきっかけが減る
- 家事や生活費の分担で、小さな不満がたまりやすい
- 仕事や寝る時間がずれて、ふたりとも元気な時間が重ならない
- すっぴんや部屋着の姿を見せることに、照れや気まずさがある
どれも、ふたりの仲が悪くなったサインではありません。一緒に暮らすなかで、自然に起こりやすい変化です。
スキンシップは、どう戻していく?
レスが長く続くと、手をつなぐだけで「この先を期待されているのかも」と身構えてしまう人もいます。そこで、スキンシップを小さな段階に分けて、ひとつずつ戻していきます。
- 隣に座る
- 手をつなぐ
- ハグをする
- 肩や背中をマッサージする
- キスをする
- 服を着たまま触れ合う
- 挿入を目的にしない触れ合い
- 必要なら、セックスを試す
大事なのは、「今日はハグだけ」と決めたら、その約束を守ること。そのまま先に進もうとすると、次からハグも怖くなってしまいます。途中で止まっても、段階を戻っても大丈夫です。
マッサージキャンドルのように、ふれあうきっかけになるアイテムを使うのもひとつの方法です。「する・しない」を決めずに、ゆっくり触れる時間をつくれます。
誘い方・断り方で、次が変わる
寝る直前に突然誘う、断られると不機嫌になる。これが続くと、誘われる側は身構えるようになります。誘うときは、断れる余地を残しておくのがコツです。
- 「今日できる?」より「今夜くっつきたいな。ハグだけでもいいし、疲れていたら別の日にしよう」
- 断られたら「そっか、言ってくれてありがとう」
断る側も、余裕があるときだけで大丈夫なので、代わりの案を添えてみてください。「今日は無理だけど、明日一緒に映画を観たい」のように言えると、相手は拒絶されたと感じにくくなります。
ふたりだけで抱えないほうがいいのは、どんなとき?
ほかにも、次のようなときは相談先を使うと、ふたりだけで話すより進みやすくなります。
- 薬を飲み始めてから、性欲や体の反応が変わった
- 話し合うたびに、けんかになってしまう
- 性的なふれあいに、強い怖さを感じる
相談先には、婦人科、男性なら泌尿器科、性機能の外来、カウンセラーによる夫婦カウンセリングなどがあります。どこに行けばいいかわからなければ、婦人科やかかりつけ医で「性のことで相談したい」と伝えれば大丈夫です。
断ると不機嫌になる、無視される、脅される、といったことがあるなら、話し合いより先に自分の安全を守ってください。DV相談ナビ(#8008)や、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター(#8891)で相談できます。
よくある疑問
質問:何か月していなかったら、セックスレス?
日本性科学会の定義では「1か月以上」がひとつの目安です。ただ、ふたりとも納得しているなら、問題とは限りません。どちらかが寂しい・つらいと感じているかどうかで考えてみてください。
質問:予定を決めてするのって、変?
変ではありません。忙しい毎日のなかでは、ふたりの時間を予定しておくほうが安心できることもあります。
ただし、予定の日を「必ずする日」にはしないこと。その日の体調や気分で、ハグだけに変えられる余白を残しておきましょう。
質問:カップルカウンセリングは大げさ?
大げさではありません。ふたりで話すとけんかになる、同じところで止まってしまう、というときこそ役に立ちます。痛みや薬の影響があるなら、病院での相談と並行するのが現実的です。









