Gスポットがわからないのって変?クリトリスの仕組みと感じ方の個人差
Gスポットを探してもよくわからない、中イキできない…と悩んでいませんか。クリトリスは見えている部分だけでなく、体の内側に広がる器官です。Gスポットについて研究でわかっていること、感じ方の個人差、痛いときの受診の目安をまとめました。
「Gスポットを探してみたけど、正直よくわからない」「中イキできないのは、私の体がおかしいから?」。ネットには「ここを押せば必ず感じる」といった強い言葉があふれていて、つい自分と比べて落ち込んでしまうこともありますよね。
クリトリスって、見えている部分だけじゃないの?
実は、見えているのはほんの一部です。アメリカのクリーブランド・クリニックは、クリトリスを「体の内側と外側にまたがる、勃起組織と神経の複雑なネットワーク」と説明しています。
おもな部分は、次のとおりです。
- 亀頭:外陰部のいちばん上にある、小さなふくらみ。幅は1.3cmほど
- 包皮:左右の小陰唇が上で合わさってできる、亀頭をおおうフード
- 体部:亀頭の奥に続く部分
- 脚:体部から2本に分かれて伸び、腟と尿道をかこむ
- 前庭球:脚と腟の壁のあいだにある組織。興奮すると血液が集まり、大きさが2倍になることも
亀頭から脚の先までの長さは約9〜11cm、幅は約6cm。外から見た印象より、ずっと大きいですよね。
そして、小さな亀頭には約1万の神経終末が集まっています。とても敏感なのはそのため。直接さわると刺激が強すぎると感じる人がいるのも、不思議なことではありません。
Gスポットって、本当にあるの?
Gスポットは、腟の前側(おなか側)の壁にある、特に感じやすい場所として知られています。ただ、医学の世界では、いまも議論が続いています。
2021年に発表された、31本の研究をまとめた論文(システマティックレビュー)の結果を、よく言われることと比べてみましょう。
| よく言われること | 研究でわかっていること |
|---|---|
| 誰にでもGスポットがある | 調査では62.9%の女性が「ある」と答えた。でも、存在そのものはまだ証明されていない |
| 場所は決まっている | 「ある」とした研究のあいだでも、場所・大きさ・正体の意見がそろっていない |
| そこだけ神経が多い | 腟の壁の神経を調べた研究では、特に神経が多い場所は一貫して見つかっていない |
では、腟の前側で感じる人がいるのはなぜでしょう。2014年の論文は、Gスポットにあたるひとつの「構造」は見つかっていないとしたうえで、クリトリス・尿道・腟の前側の壁が近くにあり、動きながら互いに関わり合っていることに注目しました。そして、この一帯を「クリトリス・尿道・腟の複合体」という、人によって形の違う領域として考えることを提案しています。
クリーブランド・クリニックも、挿入によって腟の壁ごしにクリトリスが刺激されることがあると説明しています。「Gスポットで感じる」という体験には、体の内側に広がるクリトリスが関わっているのかもしれません。
Gスポットを探してみても、どこなのか正直わからなくて…。
わからなくて普通です。研究者のあいだでも、場所や正体の意見がそろっていないくらいなんです。「見つけなきゃ」と思わなくて大丈夫ですよ。
挿入だけでイけないのって、変?
変ではありません。挿入だけで毎回イける人のほうが、むしろ少数です。
女性のオーガズムについての2011年の論文では、それまでの研究をまとめた結果として、次のような数字が紹介されています。
- 挿入だけでいつもイける女性は、約25%
- 半分より多い回でイける女性は、半数をわずかに超える程度
- ほとんど、またはまったくイけない女性は、約3分の1
同じ論文は、挿入と一緒にクリトリスの外側も刺激すると、ほとんどの場合オーガズムにつながるという報告も紹介しています。また、クリトリスと尿道の出口の距離が短い人ほど、挿入でイきやすかったという研究結果もあります。体のつくりの違いが、感じ方に関わっている可能性があるのです。
挿入でイけない悩みは、挿入でイけないのは当たり前? でもくわしく取り上げています。
「中イキ」「外イキ」、どっちが上とかある?
「中イキ」は腟の中への刺激で、「外イキ」はクリトリスの外側への刺激で迎えるオーガズムのこと。ネットでよく使われる言葉です。
でも、ここまで見てきたように、クリトリスは体の内側にも広がっていて、腟の壁ごしに刺激されることもあります。「中」と「外」は、体の中ではきれいに分けられないのです。
「中イキできてこそ一人前」のような言い方に、根拠はありません。オーガズムの道すじに、上も下もないんです。外側で感じるなら、それが自然。内側が心地よいなら、それも自然。どちらも起こらない日があっても、それで大丈夫です。
相手をがっかりさせたくなくて、つい感じているふりをしちゃう…。
その気持ち、よくわかります。でも、ふりを続けると、あなたの本当の好みが相手に伝わらないままになってしまいます。少しずつ、言葉にしてみませんか。
自分の感じ方を知るには?
人と比べるより、自分の体の反応を知るほうが近道です。オナニー(セルフプレジャー)は、誰にも合わせずにペースを決められるので、それにぴったりの時間です。
- 手を洗い、爪を短く整える
- 乾いていてこすれるなら、潤滑ゼリーを使う
- はじめは外側から、弱い力でそっと
- 場所・強さ・速さを少しずつ変えて、「痛くない」「心地いい」を探す
- イけなくてもOK。心地よかったところで終わりにする
Gスポットを探すことも、必ずイくことも、ゴールにしなくて大丈夫。「今日はこれが心地よかった」と気づけたら十分です。
グッズを使うなら、体に使うことを前提にした素材のものを選び、使う前後に洗いましょう。はじめての人は セルフプレジャーのはじめ方、外側と内側を一緒に刺激してみたい人は クリトリスとGスポットの同時刺激の記事、お手入れは アイテムの洗い方・保管の記事 も見てみてください。
パートナーには、どう伝える?
気持ちいいことも痛いことも、黙っていると相手には正確に伝わりません。とはいえ、うまく説明しようとしなくて大丈夫。短いひとことで十分です。
「もう少しゆっくりがいい」「今日は外側のほうが安心」「そこはちょっと痛いかも」
相手がGスポットを「探す」ことに一生懸命になりすぎているときは、「場所を当てるより、痛くないことのほうが大事」と伝えてもいいんです。
途中で気持ちが変わったら、止めたり変えたりしてかまいません。「前の人はこうだった」「感じるはず」と比べられたり押しつけられたりするなら、それはあなたの体の問題ではありません。
痛い・感じにくいときは、がまんしないで
痛いとき
クリトリスのまわりの痛みは、医学では「クリトリス痛」と呼ばれます。クリーブランド・クリニックは、原因として次のようなものをあげています。
- カンジダや尿路の感染症、性感染症
- 皮膚炎などの皮膚のトラブル
- 女性ホルモン(エストロゲン)の低下
- きつい服による神経の圧迫
- 骨盤底の筋肉の不調
- 糖尿病などの病気
痛みは、セックスのときだけでなく、トイレやシャワー、長く座っているとき、運動、ぴったりした服でも強くなることがあります。
性交痛については セックスが痛いときの記事、濡れにくさは 濡れないときの記事 にまとめています。
感じにくいとき
国際性機能学会(ISSM)は、十分な刺激と興奮があるのに、オーガズムが遅い・少ない・ないという状態が性的な場面の75%以上で起こることを「女性オーガズム障害」と説明しています(診断には6か月以上続くことが目安)。
原因は、年齢によるホルモンの変化や持病、婦人科の病気、抗うつ薬などの薬といった体のことから、罪悪感・不安・ストレス・過去のつらい経験、パートナーとの関係までさまざまです。ISSMは、今の状態に満足していて困っていないなら心配はいらないとしたうえで、つらさを感じるなら医療者や性の専門家に相談するようすすめています。
受診の目安
よくある疑問
質問:Gスポットで感じないのは、「開発」が足りないから?
そうではありません。Gスポットは、場所も正体も、まだ研究者のあいだで意見がそろっていません。腟の前側が心地よい人もいれば、何も感じない人、痛い人もいます。感じないのは失敗ではないので、無理に「開発」しようとしなくて大丈夫です。
質問:潮吹きって、Gスポットと関係あるの?
はっきりとはわかっていません。ISSMによると、オーガズムのときに白っぽい液体が出る「女性の射精」は、腟の壁の尿道に近いところにあるスキーン腺から出ると考えられています。スキーン腺はGスポットの近くにあるという説もありますが、Gスポットの存在そのものに議論があります。
潮吹きは、これとは別に透明な液体が出るもので、オーガズムのときに限らず出る人もいます。どちらも、出ても出なくても、それで気持ちよさや体の価値が決まるものではありません。
質問:抗うつ薬を飲み始めてから感じにくくなった。薬のせい?
薬の影響かもしれません。ISSMは、SSRIなどの抗うつ薬が性的な反応をにぶらせ、オーガズムを妨げることがあると説明しています。ただ、自己判断でやめるのは危険なこともあります。処方した医師に「性の感じ方が変わった」と伝えて、量や薬の見直しを相談してください。
参考にした情報
- Cleveland Clinic: Clitoris
- Cleveland Clinic: Clitoris Pain (Clitorodynia)
- Vieira-Baptista P, et al. G-spot: Fact or Fiction?: A Systematic Review. Sexual Medicine, 2021
- Jannini EA, et al. Beyond the G-spot: clitourethrovaginal complex anatomy in female orgasm. Nature Reviews Urology, 2014
- Wallen K, Lloyd EA. Female sexual arousal: Genital anatomy and orgasm in intercourse. Hormones and Behavior, 2011
- ISSM: What Is Female Orgasmic Disorder?
- ISSM: Do Women Ejaculate?










